葬儀屋さんと心付け

冠婚葬祭の昔からの習慣に「心付け」を渡すという行為があります。

お葬式でも私たち葬儀社の担当者に。火葬場の職員に。霊柩車、

マイクロバス、タクシーの運転手さんにと心付けを渡すことが

習慣となっています。

今、「います。」と表現しましたが、フューネではもう10年以上前に

心付けをお客様から頂くことを一切禁止としました。

つまり、「いました。」と表現しなければフューネではおかしいのですが、

全国的に見るとまだまだ一部の地域で心付けの習慣が残っている為に

一般論としては過去形で表現できないのです。





今年の8月10日に経済産業省は安心と信頼のある

「ライフエンディング・ステージ」の創出にむけて


という報告書を取りまとめ発表しました。

少子・高齢化社会なった現在、日本社会の抱える大きな問題を

解決する為にの提言です。

「ライフ・エンディング」という新しい用語を今後国が使用して

行くという表明であったことは関係する私たち葬儀社も少なからず

影響があるはずです。

「ライフエンディング・ステージ」についてはまたの機会にブログ記事として

詳しく説明していくとして報告書には葬祭サービスの改善すべき問題点として

「心付け」の問題が取り上げられています。

報告書に記載されている要点を抜粋すると

心付けの慣習に必ずしも納得のいかない利用者に対し、葬祭業者等が

暗にそれを要求する場合には、利用者にとって不透明な料金の請求と

認識されることになる。利用者に心付けを強いるということは、

葬祭料金に対する不透明感を高めるだけでなく、その行為の有無や

金額の多寡が葬祭サービスの提供行為に影響する可能性を

否定できず、利用者から信頼の低下につながる。このことから、信頼性を

確保するにはこのような強要を排除していくことが必要ではないか。


と提言されています。


フューネではこの報告書の提言をまったく同感だと考えていますし、

10年以上前に同一営業エリアの同業他社に先駆けて心付けを「廃止」して

います。現在ではフューネの社員がお客様から心づけを受け取っただけで

懲戒解雇に処するという厳しい社内ルールでこの問題に

対処しています。

そのかわり、奉仕料(サービス料)として葬儀代金の金額に応じた一定の

奉仕料をお客様から頂いています。

フューネでは見積書に記載されていない葬儀料金があることは

絶対にありませんし、またもしもあったとしたらお客様が安心して

葬儀社を選ぶことができないと思います。



そもそも葬儀で心付けを渡すという習慣は

「死者を扱うという普通の人にはできない仕事」

をして貰う為の感謝という意味合いがあるのですが、お葬式のプロからみれば

渡すほうも失礼であるし、貰うほうも情けないと思っています。

お葬式のお仕事は決して「普通の人にはできない仕事」ではないはずであり、

今や高学歴の葬儀社の社員は当たり前。むしろ大手の葬儀社などは

入社することは狭き門となっています。

確かに、村社会の中で素人のご近所衆が会社を休んでボランティアで

お葬式の設営をすることへの心付けならば、理にかなっていますが、

私たち専門のプロ集団には必要ないのです。



まだまだ一部の地域や一部の葬儀社に残っている心付け強要の問題は

報告書ように日本中から排除していくことが望ましいのです。


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三浦 直樹

株式会社 FUNE (フューネ)代表取締役

1975年、愛知県豊田市生まれ。
2005年、株式会社FUNE (フューネ) の代表取締役に就任。
(株式会社ミウラ葬祭センターが社名変更)
2代目社長として経営回復、葬祭関連事業の 拡大を図る。
2024年、創業70周年を迎える。

代表就任以来「感動葬儀。」をテーマに掲げ、サービスの向上に努めた結果、2011年には週刊ダイヤモンド誌調査による「葬儀社350 社納得度ランキング (2月14日発売)」で全国第1位に。

一方、 葬祭業者のための専門学校「フューネ クリエイトアカデミー」を設立するなど、葬祭の在り方からサービスに至るまで、同業他社への発信を続ける。

終活のプロ、 経営コンサ ルタントとしても全国で講演多数。
著書に『感動葬儀。 心得箇条』(現代書林)、『間違いだらけの終活』(幻冬舎)、『2代目葬儀社社長が教える絶対に会社を潰さない事業承継のイロハ 代替わりは社長の終活』(現代書林)がある。

●好きな食べ物:和牛
●嫌いなもの:イクラ・泡盛


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