自筆証書遺言の簡略化

12月27日中日新聞朝刊の一面に

「自筆遺言の簡略化検討 押印必須、厳格な書式から」

という記事が大きく掲載されていました。

記事の内容は以下の通り

自筆遺言の簡略化検討 押印必須、厳格な書式から

 生前に自分一人で作成できる「自筆証書遺言」の書式について、法務省が見直しに向けた検討を始めた。民法が定める書式はあまりにも厳格との指摘があり、緩和を求める声が出ていた。現在、法制審議会(法相の諮問機関)が議論を進めており、法務省は二〇一六年度内にも見直し策を取りまとめたい考えだ。

◆終活ブーム受け

生前に身の回りを整理する「終活」がブームとなる中、財産の分配方法を記す遺言を利用しやすくするのが狙い。だが、簡略化すれば不正をしやすくなるというマイナス面もあり、慎重な検討が必要となりそうだ。

民法は自筆証書遺言の書式を「全文、日付、氏名を本人が書き、これに押印が必要」と規定。内容に変更がある場合は「本人が場所を示し、変更した旨を付記して署名し、変更箇所に押印が必要」としている。

作成者が思いを込めても要件を満たさず無効となることがあり「日付や氏名のほかに押印までは必要ないのでは」と実務家から見直しを求める声も出ていた。

 最高裁も十一月、赤のボールペンで用紙の左上から右下に線が書かれた遺言を無効とした判決で「斜線を引く行為は、効力を失わせる意思の表れだ」と、作成者の思いを重んじる判断を示した。

法制審議の部会では「偽造や作成者の意思に反した内容の改ざんを防ぐには、見直しは限定的にしたほうがいい」との意見も出ており、今後一年以上かけて議論を続ける見通し。

最高裁の司法統計によると、自筆証書遺言の内容を家庭裁判所で確認する「検認」手続きの申立件数は、〇五年は約一万二千三百件だったが、昨年は約一万六千八百件に増加した。


 <遺言> 民法が書式や訂正方法を規定、内容は法定相続よりも優先される。代表的なのは自筆証書遺言と公正証書遺言の2種類。自筆証書は1人で作成できるが書式が厳格で、死亡後は家庭裁判所での「検認」手続きが必要。公正証書は、法律専門家の公証人が遺言をする人から内容を聞いて作成、原本を公証役場で保管する。公正証書の作成件数は、2005年は約6万9000件だったが、昨年は約10万4000件に増えた。



終活ブームの中で遺言書を書く人が多くなっていることはとても

良いことです。遺言書が無かったばかりに相続で揉めてそれまで

兄弟姉妹の仲が良かったのが、絶縁状態になってしまっている

お客様の事例を見ている私にとってはやはり、自分自身の死後を

元気な間に考えておくことは権利というより義務だと思うのです。

最近ではいわゆる富裕層といわれる方々が遺言や信託という方法で

自分の死後の事務を指図することの啓蒙が浸透したこともあり、

かなりの確率で遺言等を作成されています。

今、問題が起きているのは比較的、財産が多くない人々の相続争い

なのです。相続税が発生しない程度の財産ですが、親族間で骨肉の

争いをする・・・

1000万の現金をどう配分するのかで争ってしまうのです。

これを防ぐ手立てとしての遺言書は効用は絶大です。

しかし、自筆で書いた遺言というのはフューネの提携弁護士に確認する

と8割くらいが無効という判定を受けているということです。

記事にある通り、法律で定められた書式をたった一箇所でも逸脱すると

無効という判定になりますし、筆跡鑑定をするケースが大半だとか。

本当に自筆証書遺言を現実的に成立させるのは至難の業なのです。

もちろん、法律的に無効とされても、故人の遺志を尊重して相続人が

遺言に従って相続をすれば何も問題は起きないのですが、そもそも

問題が起きそうだから遺言を生前に作成しているのであって、現実には

円満解決になるケースは少数なのです。




自筆証書の法律的な要件が緩和されて、これまで無効とされた遺言が

少しでも有効になることが希望であるのですが、やはり、現実的な

効力を考えると公正証書遺言が一番の死後の近道なのです。





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三浦 直樹

株式会社 FUNE (フューネ)代表取締役

1975年、愛知県豊田市生まれ。
2005年、株式会社FUNE (フューネ) の代表取締役に就任。
(株式会社ミウラ葬祭センターが社名変更)
2代目社長として経営回復、葬祭関連事業の 拡大を図る。
2024年、創業70周年を迎える。

代表就任以来「感動葬儀。」をテーマに掲げ、サービスの向上に努めた結果、2011年には週刊ダイヤモンド誌調査による「葬儀社350 社納得度ランキング (2月14日発売)」で全国第1位に。

一方、 葬祭業者のための専門学校「フューネ クリエイトアカデミー」を設立するなど、葬祭の在り方からサービスに至るまで、同業他社への発信を続ける。

終活のプロ、 経営コンサ ルタントとしても全国で講演多数。
著書に『感動葬儀。 心得箇条』(現代書林)、『間違いだらけの終活』(幻冬舎)、『2代目葬儀社社長が教える絶対に会社を潰さない事業承継のイロハ 代替わりは社長の終活』(現代書林)がある。

●好きな食べ物:和牛
●嫌いなもの:イクラ・泡盛


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