ありがとうの心

誰かに「感謝」をする時は「ありがとう」という言葉が

最も適切です。

特にお客様に対しては「ありがとう」といい言葉は常套句であり、

常套句であるからこそ、言葉に心がこもっているかどうかが言って

みれば差別化であり、間違っても一部のコンビニの店員さんのような

マニュアルに支配されただけの心の無い「ありがとう」はあっては

ならないのです。



20年以上前の世の中の常識では葬儀屋さんが「ありがとう」という

言葉を使うのは不適切ではないかという批判を受けることが

ありました。理由は商売上、「死を待っているのに」ありがとうとは

なんだということです。葬儀社の関係者にとって大変な屈辱的な

お客様の批判でした。

私たちはお客様の死を待っている訳ではなく、お客様のお困りの時に

救いの手の差し伸べることが出来る機会を作って頂きありがとうと

いうことですし、お亡くなりになられた方がいたからこそ、生まれた

お客様との出会いにありがとうということでした。私たちはそれを

「仏縁」という言葉で呼んでいます。

一部の批判的なご意見にもめげず「ありがとう」という言葉を

使い続けることによって今では葬儀社や葬儀会館にお越しに

なられたお客様に「ありがとう」と声をかけても誰も普通のことと

して捉えています。




「いらっしゃいませ」という言葉も「ありがとう」と同様でした。

私たちにとって葬儀会館にお越しになるお客様はお客様であり、

お客様に歓迎の意志を表示する最も適切な言葉は「いっらしゃいませ」

なのです。当初「いらっしゃませ」という言葉に違和感を感じていた

お客さまも最近ではほとんどいなくなりました。




「ありがとう」の語源を辿ると漢字では「有難う」であり、

苦難・困難・災難などのいくつもの「難」が有ること

という漢字の意味です。

難があることが有りがたしという言葉の意味が転じて

日常生活を当たり前こと捉えず、「滅多にないこと」

として感謝する心こそが「ありがとう」の心なのです。

「ありがとう」という言葉は私たちがあたりまえをあたりまえとして

思わないようにするための戒めの言葉あり、「戒め」という言葉の

意味を忘れた形だけのありがとうという言葉を発した時、

新たな苦難の始まりでもあるのです。




フューネではお棺の蓋を閉める最後の最後のお別れの時の言葉は

「ありがとう」と言ってお別れをして頂くようにお客様にお伝え

しています。死は今までお亡くなりの方が生きていたことが

あたりまえであったことがあたりまえでなかったと気づく瞬間であり、

だからこそ、心から言える「ありがとう」という言葉がこの世での

最期のお別れにはもっとも適切な言葉であると断言できるのです。


















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三浦 直樹

株式会社 FUNE (フューネ)代表取締役

1975年、愛知県豊田市生まれ。
2005年、株式会社FUNE (フューネ) の代表取締役に就任。
(株式会社ミウラ葬祭センターが社名変更)
2代目社長として経営回復、葬祭関連事業の 拡大を図る。
2024年、創業70周年を迎える。

代表就任以来「感動葬儀。」をテーマに掲げ、サービスの向上に努めた結果、2011年には週刊ダイヤモンド誌調査による「葬儀社350 社納得度ランキング (2月14日発売)」で全国第1位に。

一方、 葬祭業者のための専門学校「フューネ クリエイトアカデミー」を設立するなど、葬祭の在り方からサービスに至るまで、同業他社への発信を続ける。

終活のプロ、 経営コンサ ルタントとしても全国で講演多数。
著書に『感動葬儀。 心得箇条』(現代書林)、『間違いだらけの終活』(幻冬舎)、『2代目葬儀社社長が教える絶対に会社を潰さない事業承継のイロハ 代替わりは社長の終活』(現代書林)がある。

●好きな食べ物:和牛
●嫌いなもの:イクラ・泡盛


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