「いただきます」と「ごちそうさま」の間で

食事のあいさつと言えば、

「いただきます」「ごちそうさま」でしょう。

どちらの言葉も意味を知って使えば大変素晴らしい言葉なのです。

まずは「いただきます」 から

「いただきます」とは、「私の命のために動植物の命を頂きます」の

意味からです。人が生きていく為には動物に限らず、草や木の

命さえも「いただくこと」が必定です。

私たちの生きていく代償としていのちを頂くことの意義を忘れない為の

「いただきます」なのです。

次に「ごちそうさま」ですが「ご馳走様」は「馳走になりました」の

ことで「馳」、「走」という漢字はともに「はしる」の意味です。

昔はお客様を迎えるのに走り回って獲物をとってきてもてなしました。

このような行為に「心からありがとう」という感謝の気持ちを最大限

表した言葉です。



以前にこのブログでもご紹介しましたが、日本人は「食」に想いを

込めることがとても上手な民族であり、奈良時代に仏教が伝来した時

から寺院では修行僧が食について勉強するお堂が「食堂(じきどう)」で

あり、今日の食堂の語源でもあります。

お葬式においても食に様々な意味があり、そもそも食べることで

「供養」としました。

今でも故人と共にする最後の食事という意味の食事もありますし、

忌明けまでの生ものを食べてはいけないという殺生の心得などが

あるのです。



冠婚葬祭という非日常の時(ハレ)にしか食べられない寿司やお赤飯、

お餅といった食事も現代の日常の代表格であるコンビニに普通に

売っているのが当たり前という現状では食の教育というものは本当に

難しいものです。

加えて食材には本来「旬」と呼ばれる食べ頃があるのですが、これも

一年中食べられる現状の中で若い世代に「旬」ということさえ、教える

ことは難しいものです。



※関連記事 2015年3月23日付ブログ記事「食べるという供養」
http://fune.boo-log.com/e309130.html


お葬式と食についてはこれまでもブログに書いてきましたが、葬儀で

供される一つ一つの食事には意味があり、それを頂く側の作法もあり、

食も儀式となっています。

しかしながら、最近では食事そのものが空腹を満たすだけの行為に

なってしまっているのも事実であり、食からの学びを若い世代に

伝えることができていないのが実情です。



そのような現状であるのならば、せめても「いただきます」と

「ごちそうさま」の意味を伝えることだけでも現代の葬儀社として

お客様に伝えることが精一杯の文化伝承の役目なのです。







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三浦 直樹

株式会社 FUNE (フューネ)代表取締役

1975年、愛知県豊田市生まれ。
2005年、株式会社FUNE (フューネ) の代表取締役に就任。
(株式会社ミウラ葬祭センターが社名変更)
2代目社長として経営回復、葬祭関連事業の 拡大を図る。
2024年、創業70周年を迎える。

代表就任以来「感動葬儀。」をテーマに掲げ、サービスの向上に努めた結果、2011年には週刊ダイヤモンド誌調査による「葬儀社350 社納得度ランキング (2月14日発売)」で全国第1位に。

一方、 葬祭業者のための専門学校「フューネ クリエイトアカデミー」を設立するなど、葬祭の在り方からサービスに至るまで、同業他社への発信を続ける。

終活のプロ、 経営コンサ ルタントとしても全国で講演多数。
著書に『感動葬儀。 心得箇条』(現代書林)、『間違いだらけの終活』(幻冬舎)、『2代目葬儀社社長が教える絶対に会社を潰さない事業承継のイロハ 代替わりは社長の終活』(現代書林)がある。

●好きな食べ物:和牛
●嫌いなもの:イクラ・泡盛


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