病院の霊安室

今では改善されたところも多いのですが、病院の霊安室というのは

大抵、裏口や地下の人目につきにくい場所にある

ものです。

場合によっては物販搬入口の隣であったり、ひどいところでは

ゴミの収集場所の隣なんてところもあります。

ある大病院では入り口から50メートルくらい巨大なボイラー室の

轟音の響く中を通らないと霊安室に辿りつけないというところさえあります。

ここは深夜に一人ではちょっと薄気味悪い感じの場所で私も

苦手な病院です。

あくまで病院は「病気を治す場所」ですので、元気になって

正面玄関から退院するのが本来の理想的な姿ですが、

残念ながら不治の病で命を落とす方もいらっしゃいます。

病院にとって「死」とは医療の敗北を意味します。

結果、患者の「死」という事実を隠そうという気持ちが

働きます。そして、その気持ちが霊安室を暗いイメージの地下や裏口に

作ってしまうのです。

亡くなられた患者さんが暗いイメージの地下や裏口の霊安室から

病院を去っていかなければならないのはなんとも美しい光景ではありません。

この光景は

病院が「死」というものを粗末に扱っている

ように感じるのは私だけではないでしょう。

大方の病院側の言い分は霊安室が地下や裏口にある理由を

正面玄関や目立つところに霊安室があると「病気を治そうと戦っている

患者さんに気持ちの上で悪影響を及ぼす」からと言われます。

しかしながら、はたして患者側はそう思っているのでしょうか。

地下や裏口にある霊安室は

「病院は亡くなったら物の同じ扱いをするのか」

という感情を抱くのではないでしょうか。

ある老人病院ではこれまで裏口の霊安室を使用していましたが、

それを使用するのをやめて正面玄関からお見送りするようにしたところ

「最期まで丁寧に見送ってくれる」

と評判になり、病院は患者が増えたという話しを聞いた事があります。




最近は病院で亡くなる方だけでなく、老人ホームで亡くなる方も

増えてきました。

老人ホームでは職員の皆様が整列し

正面玄関から送り出してあげる光景をよく目にします。

末期がん患者を受け入れるホスピスに至っては

霊安室は正面玄関横

のお部屋に配置されているところが少なくありません。

亡くなられた方のお見送りも通常の病院よりは丁寧な気がします。

ホスピスは原則、治る見込みのない患者さんばかりですから、

大抵の場合退院とは「死」を意味します。

「退院」は正面玄関でということは至極当然といった

ホスピスの対応です。

最近の新しい病院や建て替えた病院の霊安室は改善がみられるところが多い

ですが、それでも地下に裏口に設置するところが多いのです。

「人間の死の尊厳」ということを考えると

もう少し改善が必要だと思う病院の霊安室事情でした。








最新記事

最新記事

初めての方へ FUNE公式サイト

三浦 直樹

株式会社 FUNE (フューネ)代表取締役

1975年、愛知県豊田市生まれ。
2005年、株式会社FUNE (フューネ) の代表取締役に就任。
(株式会社ミウラ葬祭センターが社名変更)
2代目社長として経営回復、葬祭関連事業の 拡大を図る。
2024年、創業70周年を迎える。

代表就任以来「感動葬儀。」をテーマに掲げ、サービスの向上に努めた結果、2011年には週刊ダイヤモンド誌調査による「葬儀社350 社納得度ランキング (2月14日発売)」で全国第1位に。

一方、 葬祭業者のための専門学校「フューネ クリエイトアカデミー」を設立するなど、葬祭の在り方からサービスに至るまで、同業他社への発信を続ける。

終活のプロ、 経営コンサ ルタントとしても全国で講演多数。
著書に『感動葬儀。 心得箇条』(現代書林)、『間違いだらけの終活』(幻冬舎)、『2代目葬儀社社長が教える絶対に会社を潰さない事業承継のイロハ 代替わりは社長の終活』(現代書林)がある。

●好きな食べ物:和牛
●嫌いなもの:イクラ・泡盛


2024

11

1 2 3
4 5 6 7 8 9 10
11 12 13 14 15 16 17
18 19 20 21 22 23 24
25 26 27 28 29 30

PAGE TOP