省く

2010年2月24日付の中日新聞の一面コラム「中日春秋」

「葬儀を省く」という直葬のことが冒頭取り上げられました。

過日の記事によれば、葬儀業界には「直葬」という言葉があるのだそうだ。病院から火葬場へと直行、翌日に葬儀なしで荼毘(だび)に付す。それが格安の「直葬プラン」らしい

▼とにかく、「省く」は当節のキーワードだ。第一は不況による節約ムードのせいだろうが、少し前、ある業界の卸売会社の経営者から聞いた話には、やりきれない思いがした

▼何十年も商品を仕入れてきた企業が、最近、その卸売会社を通さずに、その会社の顧客に接触、直接の商売を始めたのだという。「裏切られた。商道徳も何もあったものではない」と経営者は悲痛だった

▼確かに卸売会社を省けば利益は大きくなろうが、その時、「長年の取引先は大事にする」といった商いの上の建前も省かれている。代わりに「とにかく利益を」という本音がむき出しに。これも不況の一断面だろうか

▼流通でもっと強く「省く」を促すのはインターネットだ。例えば、メーカーがネット通販で商品を売れば、小売業者まで省かれてしまう。無論、客が店に出向く手間も省けるが、人と人がふれあうという、元来、「買い物」が持っていた意味もまた省かれる

▼経済的苦境やネットの進展は、効率化の名の下、今後も一層、旧来の手順や仕組みを「省く」方へと社会を押しやるに違いない。そして、その都度、省くべきでない何かも一緒に省かれていくだろう。


ある企業の長年の商取引の中で起きた「悲哀」を取り上げられて

いますが、まさに今の時代を痛切に表現してあるコラムだと感じました。




コラムの冒頭で取り上げられた「直葬」は今、

葬儀業界では大問題です。

病院から火葬場へ直接に行く「直葬」は葬儀を行なうことを通じての

人間関係のふれあいを一切無視してしまう

省略のかたち。

葬祭業を営む私たちにとって直葬の増加は

葬祭業から遺体処理業へ業態が変化してしまうほどの

大事件なのです。

人間関係の上に私たちの葬祭業を営む者の存在価値があり、

長年の人と人のお付き合いの上でもしもの時にフューネを指名していただける

ありがたさを感じずにいられない今回のコラムでした。

実際にフューネでも「直葬でお願いします」とご依頼いただく

お客様が増えてきています。ただ、お客様が「直葬で」と言われても

実際にくわしく要望を聞いてみると費用を掛けない家族葬

希望をされていることがほとんどです。

このようなことが多いのはメディアでの露出により「用語」が先走り過ぎて

中身まで理解されていないお客様が多いことも混乱の原因だと思います。



葬儀さえも「省略」してしまうような時代になってきている

昨今。

余分なエネルギーの節約は大切なことですが、

せめて、 「人間関係」「長年の信頼」のような

省くべきでないものまで省かないように心がけたいものですね。



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三浦 直樹

株式会社 FUNE (フューネ)代表取締役

1975年、愛知県豊田市生まれ。
2005年、株式会社FUNE (フューネ) の代表取締役に就任。
(株式会社ミウラ葬祭センターが社名変更)
2代目社長として経営回復、葬祭関連事業の 拡大を図る。
2024年、創業70周年を迎える。

代表就任以来「感動葬儀。」をテーマに掲げ、サービスの向上に努めた結果、2011年には週刊ダイヤモンド誌調査による「葬儀社350 社納得度ランキング (2月14日発売)」で全国第1位に。

一方、 葬祭業者のための専門学校「フューネ クリエイトアカデミー」を設立するなど、葬祭の在り方からサービスに至るまで、同業他社への発信を続ける。

終活のプロ、 経営コンサ ルタントとしても全国で講演多数。
著書に『感動葬儀。 心得箇条』(現代書林)、『間違いだらけの終活』(幻冬舎)、『2代目葬儀社社長が教える絶対に会社を潰さない事業承継のイロハ 代替わりは社長の終活』(現代書林)がある。

●好きな食べ物:和牛
●嫌いなもの:イクラ・泡盛


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