食い別れ

和歌山県大地町で行なわれているイルカ漁を告発した

米映画「ザ・コーヴ」がアカデミー賞の

長編ドキュメンタリー賞を受賞したことに

大きな波紋を呼んでいます。

撮影の際にイルカ漁を隠し撮りされたことも地元の住民の反発を招いている

のですが、古来より続く伝統的な食文化を理解することなく、

一方的に批判することは片手落ちの感が否めません。

食文化はこの国や地域の歴史そのものですから自分自身が持ち合わせて

いない文化や価値観に出会った時に

「相互に食文化を尊重する精神が必要だ」

だと思います。



さて、お葬式こそ古来より続く伝統的な食文化の宝庫です。

お葬式においては飲食が非常に重要な意味を持っており、総じて

「食い別れ」の文化を形成しています。

通夜ぶるまい・出立ち料理・精進落としと言った料理は

それぞれが意味をもっており、そのひとつひとつが

葬送文化そのものです。



お葬式で食するものすべてが「食い別れ」です。

飲食は人間との交わりを象徴するものものですから、亡くなった方と共に

食事をすることによって、死者と最後の交わりをし

「別れ」を行なったものと考えられています。

ですから、亡くなった方のお膳を用意することもあります。

また、飲食は亡くなった方の魂を鎮め、死の穢れに対抗し、

これを祓う力がある
と信じられています。



最近のお葬式の現状では葬儀の「食」文化もだんだんと省略されたカタチの

お葬式を望まれるお客様が増えてきています。

しかしながら、亡くなられた方と最後に共にする食事である「食い別れ」

は供養という観点で考えると決して省略することは良いことではありません。

せめてお葬式の時くらい現代社会では滅多に集まらない親族や葬儀関係者と

「食い別れ」の供養を行なって頂きたいものです。

古来より伝わる伝統的な日本の葬儀の食文化。

日本人である以上、次の世代に文化を継承していく責任は

誰しも持っているのではないでしょうか。







最新記事

最新記事

初めての方へ FUNE公式サイト

三浦 直樹

株式会社 FUNE (フューネ)代表取締役

1975年、愛知県豊田市生まれ。
2005年、株式会社FUNE (フューネ) の代表取締役に就任。
(株式会社ミウラ葬祭センターが社名変更)
2代目社長として経営回復、葬祭関連事業の 拡大を図る。
2024年、創業70周年を迎える。

代表就任以来「感動葬儀。」をテーマに掲げ、サービスの向上に努めた結果、2011年には週刊ダイヤモンド誌調査による「葬儀社350 社納得度ランキング (2月14日発売)」で全国第1位に。

一方、 葬祭業者のための専門学校「フューネ クリエイトアカデミー」を設立するなど、葬祭の在り方からサービスに至るまで、同業他社への発信を続ける。

終活のプロ、 経営コンサ ルタントとしても全国で講演多数。
著書に『感動葬儀。 心得箇条』(現代書林)、『間違いだらけの終活』(幻冬舎)、『2代目葬儀社社長が教える絶対に会社を潰さない事業承継のイロハ 代替わりは社長の終活』(現代書林)がある。

●好きな食べ物:和牛
●嫌いなもの:イクラ・泡盛


2024

11

1 2 3
4 5 6 7 8 9 10
11 12 13 14 15 16 17
18 19 20 21 22 23 24
25 26 27 28 29 30

PAGE TOP