見つけてほしい

7月末に起きた2つ事件は衝撃的でした。

生きていれば111歳ですが、実は30年前に亡くなっていた

という東京足立区の事件と大坂で起きた2幼児の死体遺棄事件。

どうしてこんなことが起きるのか常人には「考えられない」

事件でした。

遺体をそのままにしておくこと(遺棄)は重大な犯罪であり、

人として絶対にやってはいけないことです。



今回の大阪の事件でも腐敗によるかなりキツイ異臭が近隣に

漂っていたようです。

私はこれまでに何度も腐敗したご遺体の処理に関わってきましたが、

真夏のこの時期は人が亡くなってからわずか一日放置しただけでも

相当耐え難い異臭を放ちます。

人間が腐敗した匂いというのは、言葉に言い表せない位強烈な匂い

ありおそらく、はじめてこの匂いを嗅ぐ方は一瞬で気持ち悪くなり、

嘔吐してしまうものなのです。

葬儀業界に足を踏み入れた新人の頃は特に「新人の禊」として

腐敗したご遺体の納棺作業を集中的に担当させられました。

映画「おくりびと」の中でも新人納棺師の主人公が匂いに耐え切れず嘔吐して

いたシーンが描かれていましたが、まさに自分の新人の頃と同じでした。

中には「匂い」に耐え切れず、精神的におかしくなってしまう同僚もいた

のです。私にとっても腐敗したご遺体の納棺という仕事は嫌な仕事であり、

作業自体過酷なものです。

しかしながら、葬儀社で働くということは避けて通れないことであり、

何も葬儀社だけがこの匂いの犠牲になっている訳でなく、

医者、警察、消防、自衛隊等に勤務する者も同様に避けては

通れない仕事なのです。



新人の頃には決してわからなかったのですが、

「どうして人間が腐敗するとこんなに臭いのか?」

ということですが、あくまで持論ですが最近ではなんとなく判ってきました。

答えは「私を見つけてほしい」

つまり、死者が匂いで自分の居場所を教えているのです。

それも強烈な匂いでアピールしています。

人は誰でも穏やかに葬られる権利があると思います。葬られていない

方は誰かに見つけてもらわなければ権利を行使できません。

今回発見された30年前のミイラ化された遺体も強烈な匂いでアピールする

ことは出来なくなってしまいましたが、「見つけてほしい」という願いを

死者が30年間発していた結果だと思うのです。

そうでなければ、あの匂いの臭さの説明ができません。














最新記事

最新記事

初めての方へ FUNE公式サイト

三浦 直樹

株式会社 FUNE (フューネ)代表取締役

1975年、愛知県豊田市生まれ。
2005年、株式会社FUNE (フューネ) の代表取締役に就任。
(株式会社ミウラ葬祭センターが社名変更)
2代目社長として経営回復、葬祭関連事業の 拡大を図る。
2024年、創業70周年を迎える。

代表就任以来「感動葬儀。」をテーマに掲げ、サービスの向上に努めた結果、2011年には週刊ダイヤモンド誌調査による「葬儀社350 社納得度ランキング (2月14日発売)」で全国第1位に。

一方、 葬祭業者のための専門学校「フューネ クリエイトアカデミー」を設立するなど、葬祭の在り方からサービスに至るまで、同業他社への発信を続ける。

終活のプロ、 経営コンサ ルタントとしても全国で講演多数。
著書に『感動葬儀。 心得箇条』(現代書林)、『間違いだらけの終活』(幻冬舎)、『2代目葬儀社社長が教える絶対に会社を潰さない事業承継のイロハ 代替わりは社長の終活』(現代書林)がある。

●好きな食べ物:和牛
●嫌いなもの:イクラ・泡盛


2024

11

1 2 3
4 5 6 7 8 9 10
11 12 13 14 15 16 17
18 19 20 21 22 23 24
25 26 27 28 29 30

PAGE TOP