殺人事件のお葬式

殺人事件の被害者のお葬式はなんともやりきれません。

葬儀場に張りつめたなんとも言えない緊張感がさらに心を重くします。

当然、ご遺族の悲しみは尋常ではなく、半狂乱の状態の両親や子供さんを

これまで、数多く見てきました。




「人が殺意もって人を殺す」

というおろかな行為は高度な知能を神さまから頂いた人間として本来は

絶対にやってはいけないことだというのは誰もが解っているはずですが、

決して減ることがない殺人事件は人間の弱い部分の怒りの感情なのでは

ないでしょうか。





殺人事件の犯人がまだ逮捕されていない時は被害者のお葬式を担当する

葬儀社に警察から捜査協力をお願いされることもあります。

どのような捜査依頼があるのかということは差し控えさせて頂きますが、

私たちも一刻でも早く犯人が捕まってほしいという思いから出来る限りの

協力はさせて頂いています。




さて、殺人事件のお葬式の中でも最もやりきれないのは

身内が身内を殺した場合のケースです。

つまり被害者の身内であり、加害者の身内ということになってしまい、

大切な方を奪われた怒りをぶつける相手がいないのです。

特に親や子供を、子が親を、孫が祖父をなんてケースはお葬式も

できるだけ内密に行いたいというご遺族さまの意向も強く、なんともいえない

空気が漂っているのです。

身内が身内を殺すという悲劇は倫理的にも決して許されるものではなく

日本の刑法でも通常の殺人よりも量刑が重くなるのです。

自分の命の源である両親や祖父・祖母を殺すということは考えられない

ことですし、命のバトンを引き継いだ、子や孫を殺すことも

とても信じられないことです。



私の修業時代に一週間で3件の殺人事件のお葬式の担当を

したことがあります。

それもすべて身内同士の殺人事件でした。

当時の私は23歳。お葬式の担当者として精神的に耐えられなかったのを

この記事を書いていて思い出しました。

「人間とは何か?」

自分自身がなぜそのお葬式の現場にいるのか、自分の立ち位置がまったく

わからなくなってしまった心の痛みは今でも強い記憶として残っています。






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三浦 直樹

株式会社 FUNE (フューネ)代表取締役

1975年、愛知県豊田市生まれ。
2005年、株式会社FUNE (フューネ) の代表取締役に就任。
(株式会社ミウラ葬祭センターが社名変更)
2代目社長として経営回復、葬祭関連事業の 拡大を図る。
2024年、創業70周年を迎える。

代表就任以来「感動葬儀。」をテーマに掲げ、サービスの向上に努めた結果、2011年には週刊ダイヤモンド誌調査による「葬儀社350 社納得度ランキング (2月14日発売)」で全国第1位に。

一方、 葬祭業者のための専門学校「フューネ クリエイトアカデミー」を設立するなど、葬祭の在り方からサービスに至るまで、同業他社への発信を続ける。

終活のプロ、 経営コンサ ルタントとしても全国で講演多数。
著書に『感動葬儀。 心得箇条』(現代書林)、『間違いだらけの終活』(幻冬舎)、『2代目葬儀社社長が教える絶対に会社を潰さない事業承継のイロハ 代替わりは社長の終活』(現代書林)がある。

●好きな食べ物:和牛
●嫌いなもの:イクラ・泡盛


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