想定外

一昔前、「想定の範囲内」という言葉が流行りました。

ライブドア事件の時に連呼していた堀江貴文氏の言葉です。

物事というのは確かに想定の範囲内で事が収まっている間は

どのような問題が発生しても対処できますが、想定外のことが起きると

何も対処出来なくなってしまうのが、人間なのではないでしょうか。

今年、東日本大震災の時に東北の沿岸部を襲った大津波は

まさに「想定外」の代表例でしょう。

過去の津波の被害の教訓からこんな強固な防波堤は必要ないだろうと

いわれていた防波堤さえも役に立たず、脆くも破壊されてしまったという

事実はショックな出来事でした。

確かに設計上の想定から考えると想定外の津波であったことは間違いない

のですが、過去に今回のような規模の津波が襲った大地震の記録は

存在するそうです。

ならば、それに合わせてもっと強固の防波堤を作っておけば良かったのでは

と今になってしまえば思うのですが、現実には滅多に起こるはずのない

大地震に備えるにはコストがかかりすぎというもう一つの現実が

存在するのです。




さて、お葬式こそ、「想定外」との戦いそのものです。

結婚式などの他の冠婚葬祭の行事と違い、参加する人数さえも正確に

把握できないという特性のあるお葬式はまず、想定される参列者の人数を

想定するところからすべては始まります。

そして、この人数の予測の失敗が即ち、お葬式の失敗に繋がっていく

からこそ、恐ろしいのです。

例えば、弁当の注文ひとつでも想定の準備数よりも多くお客様が

いらっしゃれば弁当が足らなくなってしまいます。

本来、想定より多めに発注しておくことを私たち葬儀社はオススメして

いますが、余った時のことを考えると多めに頼むことをお客様は

躊躇してしまいます。

つまり、コストとの戦いがここにもあるのです。

コストを無視すればすべて想定のレベルを上げることができますが、

最近のお葬式では少しでも安くしたいというお客様の増加により、

こうした費用の出費に対しなかなかご理解頂けないのが現状なのです。

私たちは葬儀のプロですから、これまでの経験を基に参列者数の予測を

お客様に提案します。しかしながら、私たちのデータを信用して頂けない

お客様はなかなか私たちご提案を受け入れて貰えません。

結果、想定外のお葬式となってしまうことは残念ながらこれまでに

何度もあります。

もちろん、私たちの予測が外れることもしばしばあります。

それでも素人の皆様が予測された数値よりも正確なはずです。

ですから、葬祭ディレクターが提案する提案を素直に受け入れて頂くことが

想定外にならない為の秘訣なのです。




想定外の事態が発生した時にいかに対応するか。

対応のレベルが葬儀社のレベルですし、お客様の満足度に繋がります。

でも、やはり想定は余裕も持って想定してほしいものです。

想定外で慌てなくて済む為に。






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三浦 直樹

株式会社 FUNE (フューネ)代表取締役

1975年、愛知県豊田市生まれ。
2005年、株式会社FUNE (フューネ) の代表取締役に就任。
(株式会社ミウラ葬祭センターが社名変更)
2代目社長として経営回復、葬祭関連事業の 拡大を図る。
2024年、創業70周年を迎える。

代表就任以来「感動葬儀。」をテーマに掲げ、サービスの向上に努めた結果、2011年には週刊ダイヤモンド誌調査による「葬儀社350 社納得度ランキング (2月14日発売)」で全国第1位に。

一方、 葬祭業者のための専門学校「フューネ クリエイトアカデミー」を設立するなど、葬祭の在り方からサービスに至るまで、同業他社への発信を続ける。

終活のプロ、 経営コンサ ルタントとしても全国で講演多数。
著書に『感動葬儀。 心得箇条』(現代書林)、『間違いだらけの終活』(幻冬舎)、『2代目葬儀社社長が教える絶対に会社を潰さない事業承継のイロハ 代替わりは社長の終活』(現代書林)がある。

●好きな食べ物:和牛
●嫌いなもの:イクラ・泡盛


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