人は悲しくてしょうがない突然のお別れがやってくる時があります。

特に、小さいお子さんの悲惨な突然の事故死は両親の悲しみは

とてもとても深いもので、周りの人々はかける言葉も見つからず、

ただその光景を見つめているだけしかできない時があります。

何時間も泣き続けると涙さえ出なくなって憔悴しきっている状態の方を

これまでもこれからも幾度となく出会うことのできるのが葬儀社の仕事です。

逆を言えば、「悲しい時」に思いっきり泣かせてあげることはとても大切な

ことで、立ち直りが早くなる秘訣です。




ところで、重苦しい空気の流れる突然のお別れの現場でさえも

数時間が立てば状況が変わってきます。

人は極度の悲しみ状況下においても　お腹がへるのです。

お腹の空いたお客様の胃袋を満たすことも、葬儀社の大事な仕事なのです。

中には極度の興奮状態で食欲のないお客様もいらっしゃるのですが、

そのようなお客様でさえも、目の前に食べ物が運ばれてくると自然と

手を伸ばしてしまうものです。




あるお客様のおはなし。

火事で命を落とした20歳の女の子のお葬式は悲しみの極限でした。

女子短大の同級生たちは学校の大型バスで弔問にお越しなり、

50人いたであろう同級生は一人の例外もなく式の間、号泣をしていました。

おかげでこんなにも悲しいお葬式はあるのかと思うくらいのお葬式の

雰囲気でした。

霊柩車が出棺して無事お葬式が終了。

あんなに号泣していた同級生たちは今まで泣いていたのが嘘のように

「ランチどこ行く。」

「今度の旅行は楽しみ！」

なんて黄色い声が響き渡っていました。

この変わり身に驚くと同時にこんなものかと正直思ってしまいました。

しかし、彼女たち程の切り替えの速さは本来、

私たち葬儀社が目指しているのものなのです。

「悲しみを引きずらない」為にお葬式という悲しいという気持ちを

爆発させても良い儀式があるのですから。