四十九日餅

先日、祖父の四十九日の法要がありました。

別名「忌明け法要」と呼ばれるこの法要は死者を弔う法要としては

最も盛大に行われるものであり、ご遺族が忌中として近親者の喪に服し、

忌み慎んでいる期間が明けて日常の生活に戻るものとされています。

しかしながら、忙しい現代人にとって現実に忌み慎んでいる生活をして

過ごす方々は今や少数派の中の少数派です。

葬儀が終わった日からの数々の酒宴や各種お祝い行事の参加など、

もはやあたりまえであり、魚や肉を食べないなどという忌み慎んでいる生活

など考えられないのです。


49日に本来食べる精進落としの料理については

2013年3月10日付ブログ記事「初七日後の精進落としの時間」

で触れさせて頂きましたので、割愛することにして、今回は今では用意を

される方が本当に少数派になってしまった「四十九日餅」

ご紹介させて頂きます。



上の写真が四十九日餅です。

四十九日は、本来は四十九の餅と笠の餅を作って死者との食い別れをして、

普段の生活に戻るという儀式でした。

上の写真のように笠の餅をかぶせます。この笠状の大餅は笠餅とか

親餅と呼ばれて、一般的には死者のための餅とされています。

この笠の餅を法要に参列した近親者が塩や砂糖をつけて、生で食べる

ことで死者との別れをするのです。



日本人にとって餅はハレの日(非日常)の食物、神仏のたべられる食物と

いう考えがあります。ですから、

餅で生れ、餅で結婚し、死んで餅で成仏する

のです。生まれたお祝いにお餅を配り、一歳の誕生日に一升餅を背負わせ、

結婚式のお祝いに神様にお餅を上納し、もち米でご飯を炊く。お葬式でも

神や仏に対してお供えとしてお餅を納めます。

現在でこそ、簡単に食べることができるお餅ですが、昔は本当に貴重な

ご馳走だったのです。



今、古来から脈々と伝わる日本文化やしきたりが現代人の勝手な事情に

より、どんどん「伝え」が停止してしまっています。

もちろん現代人の世情に合わせて変えて行かなければいけないものも

ありますが、古来より伝たわった文化を後世に伝えていく必要性は

忘れてはなりません。

四十九日餅の存在も忘れられぬことを願っています。


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三浦 直樹

株式会社 FUNE (フューネ)代表取締役

1975年、愛知県豊田市生まれ。
2005年、株式会社FUNE (フューネ) の代表取締役に就任。
(株式会社ミウラ葬祭センターが社名変更)
2代目社長として経営回復、葬祭関連事業の 拡大を図る。
2024年、創業70周年を迎える。

代表就任以来「感動葬儀。」をテーマに掲げ、サービスの向上に努めた結果、2011年には週刊ダイヤモンド誌調査による「葬儀社350 社納得度ランキング (2月14日発売)」で全国第1位に。

一方、 葬祭業者のための専門学校「フューネ クリエイトアカデミー」を設立するなど、葬祭の在り方からサービスに至るまで、同業他社への発信を続ける。

終活のプロ、 経営コンサ ルタントとしても全国で講演多数。
著書に『感動葬儀。 心得箇条』(現代書林)、『間違いだらけの終活』(幻冬舎)、『2代目葬儀社社長が教える絶対に会社を潰さない事業承継のイロハ 代替わりは社長の終活』(現代書林)がある。

●好きな食べ物:和牛
●嫌いなもの:イクラ・泡盛


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