ババ抜きではないのだけれど・・・

先月のあるお客様のお話しです。

市役所よりお葬式のご依頼の電話を頂いたお客様。

この方、身内がいない為に身内を探し続けました。

この間、約3週間。火葬をすることも出来ず、火葬場にある保冷庫と

呼ばれるご遺体用の冷蔵庫で保存を余儀なくされたのです。

やっと探したお身内の方はこのお客様の実の弟さんでした。

それも愛知県から遠く離れた東北地方のある県にお住まいの方でした。

この弟さんお亡くなりなられたお客様とは40年近くも会っていないとの

ことでした。このお客様はレンタカーを借りて生活をしていました。

おそらく借金もあり一定の場所で暮らせなかったのでしょう。

以前に悪事を働き弟さんが呼び出された経験もあったそうです。

しかしながら、身内である以上40年も会っていない兄の葬儀代を

支払わなければなりません。



実はこのようなケースのお客様は珍しいケースでもなく、フューネに

おいても年間数件は必ずあるのです。

おそらく、日本中ではとても多い事例でしょう。

今、生活保護の方の生活費や葬儀費用も身内がいればその人に払って

もらうというような方針を国が打ち出してきています。

国も生活保護の不正受給問題や生活保護者増加に伴い、負担が大きく

なっていることが要因ですが、今回のように親族だからと言って

40年も音信不通の方に責任を押しつけるのも如何なものかと思います。

本当に困っているひとが困る施策でないようにしてもらいたいものです。





結局、ババ抜きではないけれど、誰が「ババ」を引くのか。

今回のお客様はレンタカー暮らしであった為、大量の遺留品があり、

警察・レンタカー会社も巻き込まれました。

他にも葬儀社のフューネ・死亡したホテル・市役所・身内。

一人の死が多くの人に迷惑をかけます。

そして、この世から一人の人間を抹消するには誰かが責任を取らない

いけないのです。




少子高齢化の中、このような最期になる方は間違いなく増えていきます。

大変残念な現実な話です。

しかしながら、決して「ババ抜き」で責任のなすりつけあいをするべきでは

ありません。生前中、どんな人でも社会の為に何か役にたっていたはずです。

ならば最期はちゃんと送ってあげられる国であって欲しいのです。

そして、周りの人が悲しんで・悼んでくれる最期を迎えられることを

当たり前に思わないでください。それは気づいていないかもしれませんが、

とても幸せな人間としての最期なのです。






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三浦 直樹

株式会社 FUNE (フューネ)代表取締役

1975年、愛知県豊田市生まれ。
2005年、株式会社FUNE (フューネ) の代表取締役に就任。
(株式会社ミウラ葬祭センターが社名変更)
2代目社長として経営回復、葬祭関連事業の 拡大を図る。
2024年、創業70周年を迎える。

代表就任以来「感動葬儀。」をテーマに掲げ、サービスの向上に努めた結果、2011年には週刊ダイヤモンド誌調査による「葬儀社350 社納得度ランキング (2月14日発売)」で全国第1位に。

一方、 葬祭業者のための専門学校「フューネ クリエイトアカデミー」を設立するなど、葬祭の在り方からサービスに至るまで、同業他社への発信を続ける。

終活のプロ、 経営コンサ ルタントとしても全国で講演多数。
著書に『感動葬儀。 心得箇条』(現代書林)、『間違いだらけの終活』(幻冬舎)、『2代目葬儀社社長が教える絶対に会社を潰さない事業承継のイロハ 代替わりは社長の終活』(現代書林)がある。

●好きな食べ物:和牛
●嫌いなもの:イクラ・泡盛


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