絆と葬儀

東日本大震災から今日で3年。

あれからもう3年というよりは人々の記憶から震災の記憶が風化しつつ

あるのが現状であり、「忘れない」ということを継続する為には

改めてパワーのいることだと思います。

風化する記憶の一方で未だに仮設住宅で暮らす多くの被災者のことや

終息のメドどころか調査にすら入れない原発事故のことをこれからも

注視していくことが大切です。



震災から3年、この3年間は日本人の葬儀の形態が大きく変わった

3年間でした。家族葬が急速に普及し、葬儀が集団から個のものという

変化は否定できません。集団や社会的な繋がりを重要視していた頃は

喪主や家族意見だけでは葬儀の詳細は決定をすることが難しかったの

ですが、個の時代は言ってみれば喪主や家族のやりたいようにやれる

ようになってきました。他人の介入を嫌うという傾向は今後の

スタンダードになっていくことは明白です。




震災時に流行った言葉で「絆」という言葉があります。

想像を絶する大混乱の中で、人々が命を繋いだのは

地域の絆や家族の絆でした。大げさに言えば日本中はもとより

全世界の人々と絆で結ばれたような感覚でした。

昨今のお葬式を見ていると「絆」で結ばれていない人を排除する

傾向にあると思います。

これが震災以降の葬儀の価値観の変化だと考えています。




実は変化と表現しましたが、本質は

葬儀の原点回帰が起きたのです。

なぜならば「絆」という言葉そもそも、葬儀から派生した言葉なのです。

「絆」は通常「絆」という漢字で表現しますが、

「紲」「絏」という漢字も「きずな」と読みます。

文字によって字感は違うのですが、大意は「世代を繋ぐ」という

意味です。この言葉の意味を拡大解釈すれば、生と死、生者と死者、

故人と遺族を繋ぐという意味として捉えることができます。

土葬の際、深く掘った穴にお棺をおろす為に綱を持つ人たちの

「繋がり」を表す言葉であったのです。

人と人との関係を断つにはしのびない感情や結びつきが「絆」であり、

義理やしがらみを排除して「絆」で結ばれた人で行うお葬式を家族葬と

定義しても間違いではありません。




東京を中心とした大都市では家族葬は増えていますが、それと比べて

震災のあった東北地方は家族葬がまだまだ増えていません。

単に都会と田舎という問題でなく、震災時に地域の人たちと「絆」で

結ばれたことも家族葬を選択しない大きな理由になっています。

元来お葬式に参列する人は義理やしがらみにとらわれない悲しみを

共有できる人のみが参加するものです。

それがお葬式の原点であり、それを意味を解く鍵は「絆」なのです。

















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三浦 直樹

株式会社 FUNE (フューネ)代表取締役

1975年、愛知県豊田市生まれ。
2005年、株式会社FUNE (フューネ) の代表取締役に就任。
(株式会社ミウラ葬祭センターが社名変更)
2代目社長として経営回復、葬祭関連事業の 拡大を図る。
2024年、創業70周年を迎える。

代表就任以来「感動葬儀。」をテーマに掲げ、サービスの向上に努めた結果、2011年には週刊ダイヤモンド誌調査による「葬儀社350 社納得度ランキング (2月14日発売)」で全国第1位に。

一方、 葬祭業者のための専門学校「フューネ クリエイトアカデミー」を設立するなど、葬祭の在り方からサービスに至るまで、同業他社への発信を続ける。

終活のプロ、 経営コンサ ルタントとしても全国で講演多数。
著書に『感動葬儀。 心得箇条』(現代書林)、『間違いだらけの終活』(幻冬舎)、『2代目葬儀社社長が教える絶対に会社を潰さない事業承継のイロハ 代替わりは社長の終活』(現代書林)がある。

●好きな食べ物:和牛
●嫌いなもの:イクラ・泡盛


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