香典袋

葬儀会館では弔問にお越しお客様からよく

「香典袋をわけてください」

というご要望を頂きます。理由は様々だと思いますが、

ご自宅や会社で用意した香典袋を忘れてきた時や突然の訃報に対し

慌てて駆けつけてきて香典のことまで気が回らなかったケースなどが

多いです。

そのような時も私たち日本人は葬儀の受付で現金を直接相手に

渡すことをまずはしません。

なぜわざわざ袋に入れて渡すのかという理由をさかのぼると

「ケガレ」に辿りつきます。

※ケガレについて詳しくは
2008年3月8日付ブログ記事「ハレとケ」をご覧ください。


江戸時代に士農工商という身分制度があったことに象徴されるように

モノとモノを動かして「商売」をする商人というのは卑しい職業と

されてきました。その結果、商人は士農工商という身分制度の中では

一番下におかれたのです。何かを生産してそれを対価として金銭に

換えることはよいけれど、何も生産をしないで単にモノを動かして

利益を稼ぐことは「ケガレ」ているという考え方です。そしてそれに

関わる金銭は卑しいのです。

これは日本に限らず、ユダヤ人の迫害の歴史をみても同様です。

さらに天皇のいる宮中では元来、

お金は「ケガレ」と考えます。

祝儀袋やポチ袋、そして香典袋は現金をそのまま渡すのは

「はしたない」という発想から生まれた習慣です。

外国ではボーイにチップを渡す時はわざわざポチ袋を使いません。

外国人はお金がケガレているとか「はしたない」という感覚は

持ち合わせてはいないのです。

今の日本人はお金がケガレているという感覚を持っている人は

まずいないと思いますが、お金を直接渡すことは恥ずかしいという

美意識はここが原点です。




さて、葬儀の新商品の企画をしていると香典を

「電子マネーで支払いが出来たら」

とか「銀行振込で支払う」とかいった議論になってくる

ことがあります。一見合理的で良さそうな企画ですが、新商品として

世に出ることは今のところありません。「香典袋」にわざわざお金を

入れるといった不合理を合理的にする前にお金を袋に入れることの

意義を忘れてはいけないのです。

もしも葬儀の現場から香典袋が無くなったたら・・・

それは日本人の根底にある情緒が一つ破壊されたことに

なるのです。











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三浦 直樹

株式会社 FUNE (フューネ)代表取締役

1975年、愛知県豊田市生まれ。
2005年、株式会社FUNE (フューネ) の代表取締役に就任。
(株式会社ミウラ葬祭センターが社名変更)
2代目社長として経営回復、葬祭関連事業の 拡大を図る。
2024年、創業70周年を迎える。

代表就任以来「感動葬儀。」をテーマに掲げ、サービスの向上に努めた結果、2011年には週刊ダイヤモンド誌調査による「葬儀社350 社納得度ランキング (2月14日発売)」で全国第1位に。

一方、 葬祭業者のための専門学校「フューネ クリエイトアカデミー」を設立するなど、葬祭の在り方からサービスに至るまで、同業他社への発信を続ける。

終活のプロ、 経営コンサ ルタントとしても全国で講演多数。
著書に『感動葬儀。 心得箇条』(現代書林)、『間違いだらけの終活』(幻冬舎)、『2代目葬儀社社長が教える絶対に会社を潰さない事業承継のイロハ 代替わりは社長の終活』(現代書林)がある。

●好きな食べ物:和牛
●嫌いなもの:イクラ・泡盛


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