交通事故のお葬式

自動車の運転免許証の更新の度に、見させられる悲惨な交通事故の

生々しい映像は、私たちの運転に対する過信や慢心から気を引き締める

ことに対する一定の効果があることは間違いありません。

しかしながら、まだそれは他人事であり、自分は事故には関係ない

という心の奥の本心は変わることはないでしょう。




葬儀の仕事をしていると一年間に数件は死亡事故が原因で

亡くなった方のお葬式に遭遇します。被害者である家族の悲しみは

言葉にできないくらいの重さであり、その場の空気は逃げ出したくなる

くらいの雰囲気が漂っています。被害者にとっても最悪の感情ですが、

加害者も同時に同じです。葬儀に弔問に行っても激しい罵り合いに

なりますし、弔問に行かなければそれでまた大問題になり、事後処理の

和解の道は閉ざされてしまうこともあるのです。

仕事柄、加害者が被害者の家族に謝罪する場面に何度も立ち会った

ことがありますが、毎回、本当に「悲劇」というものは

こうなんだと思うなんともいえない空間です。あの場面に立ち会うと

事故の恐ろしさを体感できますし、絶対に事故はおこししては

ならないと思うのです。




私が、経験した事故の中で、ある老夫婦が前を走るダンプカーに

突っ込んでしまったということがありました。

はじめ、ご主人が亡くなり、病院から自宅にお連れしてご遺族の方と

イザ葬儀の打ち合わせをしようとするとそこにいた人々が

誰も口を開かなかったのです。

たいそう悲しみが深い様子ですので、打ち合わせは明日にしましょうか

と提案したところ、一人の人がやっと重い口を開いて、

「今、この人の奥さんも危篤なんだ」と。

結局、その後3日間葬儀の打ち合わせが出来ずそのままになりました。

4日後残念ながら、奥様も亡くなりました。また私が奥様をお迎えに

行きご自宅にお連れしてお棺を二つ仏間に並べた時、ご家族の

皆様からは安堵の声が。

「一緒に天国に行けてよかった」


突然の交通事故ですが、ご遺族の方にとって「夫婦揃って」と

いうことは「良かった」ことでした。




交通事故のお葬式は被害者家族にとって受け入れがたいことです。

それでも、前を向いてお葬式を進めることは深い深い悲しみから

抜け出す第一歩なのです。

















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三浦 直樹

株式会社 FUNE (フューネ)代表取締役

1975年、愛知県豊田市生まれ。
2005年、株式会社FUNE (フューネ) の代表取締役に就任。
(株式会社ミウラ葬祭センターが社名変更)
2代目社長として経営回復、葬祭関連事業の 拡大を図る。
2024年、創業70周年を迎える。

代表就任以来「感動葬儀。」をテーマに掲げ、サービスの向上に努めた結果、2011年には週刊ダイヤモンド誌調査による「葬儀社350 社納得度ランキング (2月14日発売)」で全国第1位に。

一方、 葬祭業者のための専門学校「フューネ クリエイトアカデミー」を設立するなど、葬祭の在り方からサービスに至るまで、同業他社への発信を続ける。

終活のプロ、 経営コンサ ルタントとしても全国で講演多数。
著書に『感動葬儀。 心得箇条』(現代書林)、『間違いだらけの終活』(幻冬舎)、『2代目葬儀社社長が教える絶対に会社を潰さない事業承継のイロハ 代替わりは社長の終活』(現代書林)がある。

●好きな食べ物:和牛
●嫌いなもの:イクラ・泡盛


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