ご遺体は冷たい

世間の人々は葬儀社の社員というのはご遺体に触れる大変なお仕事

だと認識している方が大半だと思うのですが、実際は間違いではないが

ちょっと違うのです。

あくまでもフューネの場合ですが、ご遺体に直接触れる仕事をしている

社員の方が圧倒的に少数であり、大半の社員は通常の業務の中で

ご遺体に触ることがまずないということです。

10人以下の少数の社員しかいない会社ならば、ほぼ全社員が

ご遺体に触れる業務をしていることが多いのですが、フューネくらいの

会社の規模以上の葬儀社にとってご遺体を直接触るどころかご遺体を

見ることさえ、ほとんどないと言ったほうが間違いではないのです。

現場あがりの私にとっては淋しいことというよりは情けない現実だと

思うのですが、この事実は葬儀社が単に葬儀というサービスを提供する

だけでなく、様々な分野の仕事を担うようになっているという証明でも

あるのです。



現代では葬儀社の社員ですらご遺体に直接触れることが少なくなって

いる中で、いわゆる普通に暮らしている人々はご遺体に触ることの

機会はほとんどないと言っても過言ではありません。

隣、近所が相互扶助として葬儀を手伝っていた頃はご遺体を

お棺の中に納棺することも隣近所の皆さんが手伝っていました。

当然そのような時は、ご家族の死でない場合でもご遺体に触れる

ことがあったのですが、現代ではまず皆無といって良いでしょう。

そのような時代背景の中で、ご遺体にとって常識とも言えることが

理解できていない方が出現しているのです。

それは「人は亡くなったら冷たくなる」

という事実です。

実際にお客さまが真顔で「ご遺体が冷たい」と葬儀社に

クレームをつけるといった笑うに笑えないようなクレームも

出現しているのです。



お葬式の5つ役割の一つに「人は必ず死ぬ」ということを

理解させるという役割があります。

そんなことは当たり前じゃないかと思われる方もいらっしゃると

思いますが、バーチャルでは解っていても実際にご遺体を前に

して初めて、その本当に意味を知ったという方が

ほとんどなのです。

そういった意味から葬儀というのは「命の教育」なのです。

そして、「人は死ぬと冷たくなる」

ということもご遺体を目の前にした葬儀の中で教育されるのです。

小さい子供さんを葬儀の場に立ち会わせないという親御さんが多いの

ですが、「命」の教育という観点では絶対に参列をしたほうが良いのです。

出来れば是非、ご遺体に触れさせてあげて

「おじいちゃん(おばあちゃん)冷たい」ということを体験させてあげて

頂きたいのです。

それが生き物を含めた命を大切にするという生きた教えであり、

ご遺体に直接触れることがほとんどない現代において千載一遇の

チャンスなのです。




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三浦 直樹

株式会社 FUNE (フューネ)代表取締役

1975年、愛知県豊田市生まれ。
2005年、株式会社FUNE (フューネ) の代表取締役に就任。
(株式会社ミウラ葬祭センターが社名変更)
2代目社長として経営回復、葬祭関連事業の 拡大を図る。
2024年、創業70周年を迎える。

代表就任以来「感動葬儀。」をテーマに掲げ、サービスの向上に努めた結果、2011年には週刊ダイヤモンド誌調査による「葬儀社350 社納得度ランキング (2月14日発売)」で全国第1位に。

一方、 葬祭業者のための専門学校「フューネ クリエイトアカデミー」を設立するなど、葬祭の在り方からサービスに至るまで、同業他社への発信を続ける。

終活のプロ、 経営コンサ ルタントとしても全国で講演多数。
著書に『感動葬儀。 心得箇条』(現代書林)、『間違いだらけの終活』(幻冬舎)、『2代目葬儀社社長が教える絶対に会社を潰さない事業承継のイロハ 代替わりは社長の終活』(現代書林)がある。

●好きな食べ物:和牛
●嫌いなもの:イクラ・泡盛


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