ガバナンスの重要性
フジテレビの一連の問題は単に中井正広さんと女性を巡る性的なトラブルから、企業を揺るがす不祥事へと変遷しています。
特に、これだけの企業体であるのに関わず、「ガバナンス」が大きく欠落していることを多くの方が指摘をし、ガバナンスの欠如を理由にテレビCMからスポンサーが離れてしまっていることが顕著です。
ガバナンスとは、組織が目標を達成するために、組織を管理・統制する仕組みのことです。企業経営においては、コーポレートガバナンスと呼ばれ、株主をはじめとするステークホルダー(利害関係者)の利益を守り、企業の持続的な成長を促進するために重要な役割を果たします。
中小企業に多くある、いわゆるオーナー企業においては「ワンマン体制」という企業統治の方法になっているケースがほとんどです。
「ワンマン体制」というものがすべて悪いだけことではなく、オーナーの力が強いことは決断が早く企業の意思決定が早くなり、企業が急成長していく為にはある意味、理想的な状態です。
しかしながら、オーナーの一存でガバナンスに求められる「企業の透明性、公正性、倫理観を高める」ことからかけ離れるリスクが高く、企業が大きくなればなるほど、敬遠されがちです。
中小企業において、健全なガバナンス体制を高める為には経営者の極めて高い倫理観が必要でそれを継続、維持していくことがとても大切です。
事業承継において、継承者がどれだけガバナンスに対して意識があるかないかで事業承継の成否が決まってきます。
前述のとおり、先代がオーナーシップ経営をしている企業であるならば、特に重要です。
昔、私の友人で事業を継承すれば、「社員は何でもいうこと聞く」と真剣に思っていた人もいるのです。
このような考え方の後継者が何の教育も受けずに企業のトップになることはとても恐ろしいことです。
企業内において社長という地位は多くの場合、絶対権力者です。
時として「権力」というものは悪のように捉えられることがありますが、「権力」というのは正しく行使することはガバナンス形成の為に絶対に必要な要素です。
健全に運用することで、企業は社会からの信頼を得て、企業価値を高め、ステークホルダー(利害関係者)との良好な関係を築き、リスクを管理し、健全な組織文化を醸成することができるのです。
ところが、フジテレビの場合、社長以上に権力をもった人物がおり、結果的に社長は権力を正しく行使できないことに多くの方が不信に思うのです。
組織内に権力持つ人が2人以上いると迷走します。
事業承継時にはおいては一時的に2人の権力者が組織内に存在することなりがちです。
健全なガバナンス体制を構築できるように特に事業承継の時には気を付けなければなりません。