決算書が解るまで
社長になるということは様々な覚悟が必要であるのですが、それ以前に
経営者として必要なスキルを磨いておくということが本当に重要なのです。
社会人として漢字が読める、足し算・引き算などの計算が出来るといった
ような基本的なスキルの中で経営者としてどうしても必要なスキルは
「決算書が理解できる」
ということです。決して「決算書を作成する」というスキルを求めているのでは
ありません。もちろん、作成できるというスキルを持てれば良いのですが、
それは経理担当者や税理士などの専門家にお願いすれば済むことですから。
私が知っているいわゆる社長と呼ばれている人々の中で、決算書を理解
できていない社長さんが多いのには正直、びっくりするのです。
社長の仕事は毎年、毎年の決算を行い一年の企業の活動を対外的に
報告する義務は法律でも定められています。ですから知らないとは絶対に
言えないのですが、貸借対照表と損益計算書の見方すら理解していない
社長さんがいることも事実です。
いわゆる財務諸表と言われるのは貸借対照表と損益計算書の二つを
指すのですが、どちらが重要でしょうか?
答えはどちらも重要です。
損益計算書はその年に儲かったか儲からなかったを判別する言ってみれば
通知表みたいなもの。貸借対照表はそれまでの歴史を積み重ねた財産目録
みたいなものです。
銀行がお金を貸すときに重要視するのは儲かっているか儲かっていないか
という要素ももちろん大切ですが、貸借対照表に表現される企業の歴史が
特に重要です。これを他の言葉で表現すると「与信」という言葉になります。
私自身、社長になった時は簿記の資格や財務諸表の分析の仕方を
学生の時に勉強していても決算書が解りませんでした。
見方が解ってそれを的確に分析し、次年度の経営に反映できなかったからです。
やっと見方が解ったと思えたのは社長になって3年目くらいからでしょうか。
決算書は机上論だけでは解らないものなのです。
経験がものを言います。
ですが、基礎知識は机上論で、その上に経営の経験がなければ決算書は
解らないのです。
解るようになるまではどんなに社長歴が長い社長さんでも半人前なのです。