会社は民主主義ではない。
「会社は民主主義ではない」
という言葉は私が社会人なった最初の研修で講師に教えて頂いた言葉です。
民主主義国家の日本において、物事の決め事はみんなで話あって決めるという
民主主義の大原則に疑いを持たなかった21歳の私にとって、それはそれは衝撃的
な言葉でした。
実際に社会人として社会に出てみるとその意味が解ってきました。
例えば賛成8割といった企画案が残りの2割の中にいる一部の権限を持った人の
意見で反対で企画が通らないといったことは日常的に起こります。
社長の一存とかオーナーの一存で9割9分段取りしていたことが一瞬の間に無駄に
なってしまうことの理不尽さも会社という組織にはあるものです。
ですから、権限を持っている人の出来不出来が会社の業績や行く末に大きく影響
を与えるという危険性を孕んでいるのです。
出来の悪い人が会社のトップになるという事業の継承をもししてしまったら、
これまで業績の良かった会社も一瞬にして倒産の危機に陥るといった事態に
なります。本当に怖いことです。
しかしながら、特定の人物に権限を集中することは何も悪いことばかりでは
ありません。会社のオーナーの権限の強い経営、すなわちオーナーシップ経営は
時代の流れが恐ろしく早い現代において対応するのにスピード感が求められるのに
最適な方策のひとつです。
オーナーの一存で素早く決断することによって同業他社を引き離すことも
できるのです。
日本の中小企業の大半はオーナーシップ経営であり、合議で物事が決まることの
方が少数です。結果的に取締役会の合議や各部署の調整や稟議で決まる大企業
と比べてとても小回りが利きやすいのです。
この利点を最大限の武器と捉え、理解し実行できる企業がこれからの時代の勝者に
なっていくはずです。
その為には後継者の経営能力を磨くことに全力に傾けなければならないのです。
会社は民主主義で動いていない以上、生死を分ける程の重大な要素なのです。