後を継いではくれないもの
最近、複数のお取引企業から「廃業」のご挨拶を頂きました。中には創業50年を
超えた老舗企業もあり、こちらが廃業の知らせに驚くばかりです。
廃業を決めた企業は決して業績が悪いという理由ではないところが本当に残念
なのです。なぜ廃業を決意されたか聞いてみますと大方が「後継者がいない」
という理由を教えてくれます。どんなに業績が良くても、後継者がいないという
理由だけで廃業をしなければならない現実はこれまで頑張ってきた人にとって
さぞかし、無念なことでしょう。同時に後継者がいないからと言って会社を身売り
した同業者も最近は多くなってきました。本当に継続をすることの難しさを痛感
させられます。
多くの中小企業の経営者は「できれば自分の子に会社を継いで貰いたい」と
思っています。当然のことながら、子供が小さい頃から何等かの帝王教育や
「将来はこの会社を継ぐのだぞ」という言い聞かせをしているのです。
しかしながら、後継者にとっても進むべき人生の道は様々な外的な要因に
よっても大きく左右されます。
能力という点において考えてみても、社長としての基礎能力が無いという欠点
で後継者から脱落することもあれば、能力が高すぎて他の仕事で充分に成果
を出して後継者になれないと言ったことが往々にしてあるのです。
そして何よりも後継者にとって継ぐべき企業が魅力的でなければ絶対に
事業承継はありえません。借金まみれな会社、業績の先行きが見通せない会社、
人間関係がギクシャクしている会社などには後継者として名乗りを上げることは
火中の栗を拾うようなものです。
会社を継続させる為には「魅力的」であることは本当に大事なことなのです。
事業承継がスムーズに行ったケースというのは今の時代、本当に様々な幸運が
重なって初めて起きる事象だと思うのです。私の場合も「奇跡」といっても過言
ではないケースです。
ただし、奇跡を起こすことは偶然ではないのです。
奇跡を起こす為の「準備」があって奇跡は起きるものであり、「準備」をすること
を怠った会社には絶対に奇跡は起きないと思うのです。
ですから、「準備」を手順通り行っておくことが重要であり、すべての成功の秘訣
なのです。なぜならば、「継続することは未来への前進」であり、奇跡が新たな
奇跡を呼び起こしてくれるからです。