負の遺産
人が亡くなり、相続をする時には財産を引き受けます。基本的には財産は
価値のあるものですが、マイナスの財産も存在します。つまり借金も相続
する訳です。マイナスの財産が多い場合は相続を放棄する権利が認められて
いますが、会社を引き継ぐ時にはどうでしょうか。
基本的に負の遺産はすべて、後継者が引き継ぐ必要があります。
良いことも悪いこともすべて受け止める覚悟がなければ、事業承継は
絶対にうまくいきません。
負の遺産は見えるものと見えないものがあります。単純に銀行からの
借入れなどは決算書にもしっかりとした数字に見えるのですが、
前任者の失政による訴訟のリスクや不文律で決めた数々の約束事などは
事が明るみになった時に初めて知るということも起きてくるのです。
特に前任者が急死などして予定外に継承が早まった時などは負の遺産の
引き継ぎはまずうまくいっていないものです。
私自身、社長を交代して10年経った今でも初めて知るようなことが時折
表面化します。その時は解らないことをそのままにしておくのではなく、
当時をよく知る従業員や元従業員に頭を下げて聞き取りをしなければ
いけないのです。
どんな会社にも負の遺産はあるはずです。
「なんでこんなものを残した」
と誰かを責めても仕方のないことです。
負の遺産をプラスの財産に変えていくことが後継者の役目であり、
このチャンスを適正に処理をすれば、会社は先代の時よりも発展して
いくはずです。