祖業
葬儀社であるフューネの祖業は花屋です。
辞書によると祖業とは「祖先が始めた事業。」「今日まで祖先から
受け継いできた事業。」とありますが、まさに事業承継を無くして祖業の伝承は
ありえません。世界一の企業といっても間違いない、トヨタ自動車の祖業は
自動織機(無停止給糸機能)を発明し、豊田自動織機という会社が前身です。
今でも株式会社豊田自動織機としてトヨタグループの中心企業として存続して
います。しかしながら、祖業である自動織機で会社の屋台骨が確保されている
訳ではありません。自動車関連の事業にシフトしていることは多くの方が知って
の通りです。規模の大小は違いますが、フューネという会社も花の売上よりも
葬儀の売り上げが圧倒的に大きくなって今日まで発展しています。
そもそも、花屋であるフューネが葬儀の事業をやることに至った経緯は
「花を売る為」なのです。葬儀業に参入すれば、本業である花が今よりも
たくさん売れるという見込の中で今後、花屋だけをやっていくことで先細って
いく未来を憂いての参入でした。
どんな事業においても栄枯盛衰があり、時代とともに業態を変化して
行かなければ生き残れません。会社を潰さない為には絶対に重要なことです。
会社が発展をして、祖業のことを忘れることが多くあります。
特に大きな企業であればあるほど、祖業のことを知らない社員が増えていきます。
どんなに発展しても祖業のみをやっていた頃のアイデンティティーを踏襲している
企業がほとんどなのに、祖業の存在すら知らないではうまくいくものも、うまく
行かなくなってしまうのです。
後継者にとって「祖業」を大切にする心、そして、先祖より受け継いできた精神を
継承して行くことがとても大切であり、事業承継の本質であるはずです。