後継者と借金
借金というものは「お金を返す」という絶対的な信用のもとに成立しています。
あたりまえのことですが、この信用が築けない相手とはお金の貸し借りが
成立しません。
事業承継をして新たに社長となった人の信用は基本的に余程の個人資産を
もっていなければ、基本的にありません。なぜならば、社長としての実績が
なければ、この人に経営を任せても大丈夫か。もっと言えばちゃんとお金を
返して貰えるのかということを貸した側が疑うのは当然のことです。
会社経営にとって借金を返すということは、安定的に利益を出すことに他
なりません。たったの一年だけ莫大な利益を生み出して、あとは赤字続き
という企業では長期の借金の返済能力は疑われます。
企業後継者にとって本当の意味の信頼を勝ち取るには、やはり、利益を
安定して出し続けることに他ならないのです。
借金は資産だと言われる方もいらっしゃいますが、本当に信用という観点
で考えればその通りなのです。
そうはいっても事業承継というのは、先代からの借金を継承することからは
逃げられません。企業において無借金経営としている優良企業はまずありません
から、企業の継承において何らかの借金があることは当然のことです。
先代からの借金を返すこと出来、新たに自分自身の借金が出来るようになった
時、本当の意味で事業承継が完了した時ではないでしょうか。
そして、自分自身で借りたお金を必ず返すことで初めて会社を「存続」できる
のです。