社員の戸惑い
私が社長になった一年目は私自身も右に行っていいのか、左に行っていいのか
わからなくなる時がありました。大きな着地点である進むべき方向は解っていても
日々の細かい業務の中では本当にこれで良いのかということを自問自答する日々
でした。先代の社長を受け継いで新たな新社長の方針に照らし合わせてモノゴトを
進めるとひとつひとつの手法が違ってきたりします。
前社長の時のやり方が新社長の方針に合わずといったことが社長に就任して
わずかな間でも度々起きたのです。
社員にとっては「戸惑い」であったと思います。
しまいには
「社長の言うことと会長(前社長)の言うことのどちらを聞けばいいのか」
といったことを社員の間にささやかれました。
当時は社員からのそのような言葉を頂くのは辛いことでした。
当然のことながら、社長が変わったということは方針が変わるということですから
社長の方針に従うことが必然であり、何も惑うことはありません。
しかしながら、当時の私はその言葉を打ち消す自信がなかったのです。
事業を継承するということは例え自信がなくても方針を明確に示すこと。
そして、トップが変わった以上、新しいトップに従順に従うことを徹底する
ことがとても大切なことになるのです。
社員が戸惑いを無くすことは大切なことですが、一度決めた方針を貫く
強さが事業継承してしばらくの間は特に大切なことなのです。