代表権
事業承継のゴールは「代表権」を承継することとも定義できます。
厳密には社長になることが、ゴールではなく、「代表権」を与えられた
時が事業承継のゴールとなるのです。
ところで多くの方々はこの「代表権」というものを正しく理解している
人が少ないものです。
一言で言ってしまえば、代表権とは会社を代表しての契約の締結など
の対外的な行為を行なうことができる権利のことです。
つまり、代表権が定めている法人において「代表取締役」の署名の無い
契約書というものは無効の契約書になるのです。
代表権の無い「社長」という役職は単に会社の長であるということであって
会社の最高意思の決定による執行が出来ないのです。
代表権は複数の人間が所有することが可能です。
よく、「代表取締役会長」と「代表取締役社長」の両名がいる会社において
どちらが偉いのかというクイズの設問がありますが、
答えは法律上は「対等」です。
しかし、現実にはその二人のパワーバランスで決まっていますよね。
先代が代表権をもったまま「会長」に退き、後継者に代表権を与えないまま
社長に就任させることがありますが、このような場合は事業承継という点に
おいて全く承継が完了していないと言っても良いのです。
継承者が事業を継承する時に正しく「代表権とは」ということを理解していない
状態に継承してしまうことがよくあります。
というよりも私自身も代表取締役に就任した時に本当に正しく理解していたと
いうと嘘になります。
代表取締役の責任と権限を正しく理解していないと事業承継は絶対にうまくは
いかないものですし、会社の危機において大きな過ちを犯してしまうリスクが
あるのです。