葛藤
葛(かずら)と藤(ふじ)の枝が絡み合い、もつれ合っている様を表して
いる「葛藤」という言葉は人が人であることの心の様の象徴である
ことばだと思うのです。
世の中は「1+1=2」というような明確な答えを導き出せることのほうが
少数であり、どちらを選んでも後悔が残る選択をしていくことのほうが
多いのです。ベストという選択肢が存在しない中で、選択肢を一つに
絞り、実行していくことが「決断」であり、経営者にとって「決断」とは
経営そのものであると言っても過言ではないでしょう。
一つの決断がその後の結果に大きく関わる中で、間違えた選択をしない
ようにすることは実際のところ不可能に近く、どれを選んでも後悔が残る
からこそ「葛藤」をし、孤独を味わうものです。
俗に№1と№2の違いは天地ほど違うといわれますが、心の葛藤の
量が比べ物にならないからこその違いです。
もつれあい絡みあっている状態から解きほぐしていくことの能力は
誰にも必要な生きていく為のスキルですが、机の上の勉強では
教えることが難しいスキルだと言えるのです。
事業承継はこのことの教えるのに最も近道な勉強法であり、勉強する
機会は早ければ早いほど効果的なのです。
しかしながら、その勉強法は苦痛が伴う実体験であり、時として
苦痛に耐えられない人がおり、事業承継そのものが大失敗をしてしまう
ことがしばしば起きるのです。
そうならない為のケアができる「アドバイザー」が社内外を問わず必ず
必要なことだと思います。
事業承継においてアドバイザーは必要です。
当事者ではないアドバイザーが当事者の心の葛藤を見守らないと
最悪は破綻をしてしまうものです。
破綻しないように、そして心の苦痛に耐えられるだけのスキルを継承者
に習得させることが事業承継の肝だと言えるのです。