大廃業時代の継承
帝国データバンクが2017年に発表した
「後継者問題に関する企業の実態調査」によると実に国内企業の
3分の2にあたる66.5%が後継者不足だと回答をしています。
このことは最近、新聞でもよく取り上げられるようになりました。
後継者不足の問題点は様々ありますが、一番の核心的な理由は
「儲からなくなった」ということです。
つまり、継承する側の魅力が欠けてしまっていることが後継者不足に
直結しています。
儲からなくなった理由は同業者間の競争の激化・人件費の上昇
コンプライアンス対応とこれまた様々ですが、ひと昔と違い
企業を取り巻く環境が厳しくなり、そして企業の社会的な責任が増し、
経費がよりかかるような社会的な構造になってきていることに加え、
ネット社会により、儲けのカラクリが消費者にガラス張りになって
きたことも理由の一つでしょう。
事業継承において「儲けること」はとても重要なことですが、このような
時代に「儲けること」以外の理由が明確でないと事業継承はうまく
いきません。
例えば、「先代から伝わる技術を守りたい」とか「地域のため」という
ことも重要なことです。
また、「社長になりたい」というような社会的ステータスを得られるような
ことも事業承継においては重要な動機になります。
継承することは決して楽なことではありませんが、事業を継承しなければ
絶対に知ることのできない世界があることも事実で、後継者をその気に
させるには継承後の未来を明確に示すことがとても大切なことです。
安易に儲からないから会社を継がないという継承者の判断にならないように
しなければ大廃業時代の継承はうまくいかないのです。