伊勢神宮の式年遷宮にみる究極の事業承継
拙著「2代目葬儀社社長が教える絶対に会社を潰さない事業承継のイロハ」
にも掲載しましたが、伊勢神宮の式年遷宮は事業承継の究極のお手本
だと思います。
「式年」とは定められたという意味で「遷宮」とは宮を遷すという意味です。
伊勢神宮では「式年」を20年と定め、遷宮として殿舎を別の敷地に
造営しているのです。この式年遷宮は飛鳥時代に天武天皇が定め、
初めての遷宮は天武天皇の皇后であった持統天皇が西暦660年に
行っています。それ以来、1300年もの間、一部の戦国時代などを除き
受け継がれてきたのです。そのおかげで、伊勢のお社は「古くて新しい」もの
の象徴となっています。
20年という期間は代替わりには最適な代替わりの期間だと思います。
親から子へ技術を伝承するのは親が元気なうちに行うことが肝要です。
そういった意味では30年は長すぎますし、逆に10年では子が成長していない
ので、絶妙だといえます。また、長寿ならば、40年後には3代揃って、
式年遷宮を迎えられる可能性も秘めているのです。
そういった意味で期間が絶妙なのです。
また、式年遷宮は単純に20年に一度神殿を造り替える行事があるだけでは
なく、約30もの行事と祭典を合わせて式年遷宮と称し、実際には8年も前から
遷宮に向けて行事や祭典が行われています。事業承継にはそのくらいの
準備期間が必要なのです。
準備期間の8年ということも、私たちが学ぶべき事業承継の準備期間なの
です。
伊勢神宮の式年遷宮から学ぶべきことはたくさんありますが、一番大切なことは
事業承継は「先代が元気なうちにやらなければ意味がない」ということです。
元気なうちに準備してしかるべき時に行う事業承継でなければ、事業承継が
失敗してしまうこともあるのです。