別にいいんだけど・・・
一昔前、とある女優が映画の舞台挨拶で「別に」という発言を連発して、
世間から大ひんしゅくを買ったことを覚えていますでしょうか。
当日に体調が悪かったか、不機嫌であったかの真相はわかりませんが、
公の場所に「別に」という発言が多くの人を不快にして結局、その女優が
その後の仕事が激減したことは自業自得とはいえ、かわいそうな結果でした。
組織の中で「別にいいんだけど・・・」という発言を平気でする人がいます。
そもそも組織の属する人は組織の方針や決定事項に絶対に従わなければ
なりません。もしも従わなければ、組織の規律が乱れ目的の遂行に支障が
出てしまうからなのです。
ですから、決まった組織の方針や決定事項に対し、「別にいいんだけど・・・」と
いって従っていることは一見正しく仕方がないように錯覚しますが、これは
大きな間違いです。
正しくは「納得できません」というべきです。
なぜならば「いいんだけど・・・」の後にはその人の本心が隠れている
からなのです。
ですから、納得できない旨を相手に正しく伝え、できれば議論し納得した上に
従うべきです。
「別にいいんだけど・・・」を放置しておくと組織は必ずおかしな方向に行って
しまうのです。
それ以前に前述の女優の例のごとく「別に」を連発することはその人の信用を自ら
傷つけているようなものです。
企業の後継者が「別に・・・」という発言をされる方は私の知る限り、
実はかなり多くいます。
特に先代に対して「別に・・・」という発言は自分だったらこうするのにという
不満の表れであり、放置することは絶対に禁じ手です。
「けど・・・」の後の本心を表面化して納得するまで議論し、先代と後継者の
方向性を揃えていかないと企業は迷走状態になってしまう危険性があります。
そもそも、仮に親子であるからといって意見が一致することは絶対にありえない
のですから、「納得できません」といういうのが相手に対する礼儀であり、
言われた側の人間は絶対言論を封殺することはNGなのです。
先ぼどから何度も述べていますが、企業のトップが「別に・・・」という
言葉を使うことは絶対にしてはいけません。
社員に対する信頼もお取引先に対する信用も一瞬で失ってしまうくらいの
悪い言葉です。
しかしながら、何気なく「別に・・・」という言葉を使う人が多いので、
使っている本人は事の重大さに気づいていないものです。
事業承継のポイントを見極めるのに「別に・・・」を含めた言葉使いの
可否は絶対に忘れてならないことです。