気合いと組織作り
どんなに優秀な経営者でも一人は一人であり、一人の力はおのずと限界が
あります。初めはひとりですべてこなせる仕事量でも事業の拡大とともに
ひとりでは仕事がこなせなくなっていきます。そうなれば、誰かに手伝って
貰わなければならなくなるのは必定です。
ひとりがふたりになった時に組織が生まれます。
早くも気を付けなければならないのが、ふたりが3人になる時に派閥が
生まれます。そのくらい、組織は大小に関わらずデリケートであり、
取り扱い方を間違えると悪影響ばかりの組織になってしまうのです。
元来、組織とは特定の目的を達成する為の集合体です。言い換えれば
目的を達成する為の組織づくりをしなければいけません。
その為に一人一人の役割を明確にして、目的と手段を間違えないように
運営することが大切です。それが出来れば、組織内の頭と手足が調和し
スムーズに目的達成までのことが出来るのです。
組織を運営するには一定の決められたルールに従って進めることが
大切なのですが、事業を立ちあげた時、窮地に陥った時、ここ一番の
勝負の時に必要なものはルールでも理屈でもなく「気合い」です。
正直、気合いで20%は結果は向上するものです。
しかしながら、気合いの効果は短期的であり、競馬でいえば「ムチ」の
ようなものです。つまり入れるタイミングを間違えれば何も好結果を生みだす
ことが出来ません。ムチが効かなくても平常時に動くことが出来るように
する為に組織づくりが非常に重要なのです。
組織を作ったことの無い、企業後継者のよくやってしまう失敗は既存の組織を
悪気なく、壊してしまうことです。もちろん、自分自身で立派な組織を一から
作ることが出来る能力のある人ならば、壊すことも選択肢の一つなのでしょうが、
組織を自分の力で構築できない人に限って破壊をしてしまうものです。
なぜならば、組織の重要性が全く解っていないからです。
一度壊れた組織を作り直すことは難しいことです。後継者が自分の目指す組織
を主張する前にまずは受け継いだ組織を分析して、受け継ぐことと改善すること
を仕分けしていくことが事業承継の第一歩です。
間違っても組織を理解していない後継者が気合いだけを入れることは禁じ手です。