人事権
人事権という権限は非常に組織内部にいる人にとっては非常に強力な力であり、
人事権を掌握することが権力の集中であることは言うまでもありません。
その権力を正しく使っている間は良いのですが、一旦間違った使い方をして
しまうと修正が効かなくなるのも人事権でなのです。
権限を持つ使う側が使いこなせるスキルは相当に高いのもまた、人事権の
特徴でしょう。
記憶に新しいところでは日大のアメフト部、内田監督が本体の常務理事で
人事権を持っているが為にコーチも逆らうことが出来ず、結局間違った方向を
誰も正すことが出来なかった典型的な人事権の弊害でしょう。
事業継承において、社長交代時に人事権を渡すかどうかということを
多くの人が悩まれます。
ヒト・モノ・カネの権限を継承者に渡さなければ、事業継承が成立はしていない
のですが、事業継承時にモノとカネの権限を渡してもヒトの権限を渡さない
ケースが多々あるのです。
事業継承の難しいことは一旦、渡した権限を返して貰うことは余程の理由が
ない限りタブーであり、それを実行してしまうと組織内の統制が取れなくなる
ことがあるのです。
一人の人の後ろには家族・友人・取引先・お客様と様々な人が繋がっています。
長年かかって築いてきた人脈が人事の政策の間違いで一瞬のうちに無くなって
しまう怖さがあるのです。
反面、人事権を正しく使うことができれば、従業員のヤル気向上に繋がり、
組織の発展に好影響をもたらします。
継承者が人事権を正しく使用できるように導くことと、万が一に間違った場合の
対応ができるようにしておくことが事業継承では結構忘れがちであり、
大きな落とし穴なのです。