規律と自由
良い組織を形成していく上で重要なキーワードは
「規律と自由のバランス」です。
人は複数いる時点で何かしらのルールが必要になりこれが「規律」です。
しかしながら、完全にルールに縛られているだけでは機械のような生活
になってしまいます。人間的な生活を送る為には絶対に自由は必要です。
社会生活の最小の単位は家族であり、家族の中の決め事が守られて
いなければ家庭が崩壊します。「規律と自由」はまずは家庭から必要です。
一般的に会社の場合、社員が増えていけば行くほどルールが細かくなり、
また、ルールを破った場合のペナルティーも重くなっていきます。
多くの人を統制する上では当然のことであるのですが、同時に
「自由度」を高めていかなければ、いわゆるブラック企業を簡単に分類
されてしまう今日この頃です。
「規律と自由」のバランスを調節する能力は企業経営者にとって必要不可欠
なスキルであり、バランスが少しでも崩れるとその組織の所属する利害関係者
は動揺するものです。
「規律と自由」のバランスが崩れる危険性のある一番のタイミングは
事業承継の時です。トップが変わるということは「規律」と「自由」の配分が
大きく変わる可能性があるのです。先代なら黙って見過ごしてくれていたことが
後継者の代になったらいきなりNGになることは、何かしらの組織に属していて
上司が交代した時に誰もが経験していることなのです。
中間管理職が交代するだけで「規律と自由」のバランスは変化しますが、トップが
交代した時は時として全く別の社風の会社になってしまうくらいの変化が
突然やってくるのです。事業承継においてその組織に属している人々にとって
この急激な変化を過去の体験上、一番恐れているのです。
バランスを間違えると事業承継時から様々な問題が連続的に発生します。
そして、時として致命的な問題の発生により、事業承継は大失敗となって
しまうことになるのです。
「権力」の委譲の怖さは事業承継時にはしっかりと後継者にレクチャーしなければ
なりません。大きな変化には大きな副作用が伴うものです。副作用を最小化
することは事業承継にとって重要な項目なのです。