人事異動
中小企業の経営者にとって人事異動はなかなかできないことのひとつです。
なぜできないかと言うと、そもそも企業において慢性的に人手不足の会社が
ほとんどであり、人的に余裕がありません。
そして、企業としての活動の範囲が大企業と比べて狭いので、人事異動
そのものが必要と考えない経営者も多いです。
加えて、専門的な技能を持った社員が多いのでそもそもその人を動かすと
会社の生産性がてきめんに落ちてしまうというような現状であるのです。
人事異動が必要なのは「社員の潜在能力の掘り起こし」が企業発展の必要
なのです。
人事異動を「適材適所の配置」という観点で捉えてしまうと、多くの中小企業に
とって人事異動は必要なしという結論に至ってしまうのです。
社員数が10人未満の企業において、適材適所という観点で人員を配置する
ことは理にかなっています。
しかしながら、組織の規模が大きくなるつれて、「適材適所」という観点での
人事異動だけでは会社は発展しません。
社員ひとりひとりが「やったことのないこと」「苦手だと思っていること」を
人事異動にてあえて、強制的に業務に就くことで、今まで目に見えてこなかった
潜在的な自身の能力に気づくことになり、これが個人のスキルを上げることに
繋がり、結果的に社員のキャリアアップに繋がるのです。
後継者においても、社内の業務のすべてを知る為の人事異動は絶対に必要な
ことです。なぜならば、将来的に企業のトップになった時には好むと好まざるに
関わらず、会社内のすべての業務を掌握しておかなければならないからです。
また、自身が人事異動を体験して、自分自身が潜在能力の発掘の実体験を
しなければ、人事異動そのものの必要性を理解できないのです。
人事異動によって多くの社員が知らず知らずにキャリアアップできる仕組みを
もっている大企業と持っていない中小企業の未来のどちらが明るいか、考えれば
おのずと答えはわかるでしょう。